ライク・ア・マジック

あの世ってのが本当にあるんならこんな場所なんだろう、ってぐらいに目の前の光景はついさっきまで僕らが這いずり回ってた大地の上にあるだなんてまるで信じられないくらい綺麗で現実離れしてる。
天国なら聞こえるのは天上の調べってやつ、地獄なら死した罪人のうめきが聞こえるんだろう。もっともここはどちらでもない、耳を叩くのはもう散々耳に慣れて気にならなくなったエンジン音、装甲だろうが屋根瓦だろうが平等に風穴を空けていく機銃の音、どこかから漏れているひんやりした風の音、どれもこれもとことん無機質な。
この雲海の中でイキモノがいる、って主張してるのはただ、やたらドクドク言う自分の鼓動、機体すれすれを弾がかすめていった一瞬後の自分の詰まった息が吐きだされる音。
これが墜ちれば消えてしまう音。
僕らが墜ちれば止んでしまう音。

ボンッ、とけたたましい断末魔の悲鳴をあげて、設計図の上だけに生きていたはずのモノが、ただの塊になって墜ちていく。
鋼と油で出来たかりそめの命はただの塵と炎になって消えていく。
魔法で出来たまがいもののイキモノは魔法でまた灰に還さなきゃいけない。
それが正しいかどうかなんて最後までやり遂げなきゃあわからない。


「…食いつけ」
ぎゅん、と低く唸って空飛ぶ猟犬がすっ飛んでいく。命令をやめるか急所を食い千切るまで牙を立てるのをやめない。
心臓を噛み砕かれた鉄塊がまた火を噴く。墜ちる。死んでいく。

怖いものを造った、と、少しだけ思った。

なにこのポエム。
ケータイ小説でおk。(実際携帯で書いたしな